広響コンサート 第372回定期演奏会
下野竜也の音楽総監督就任記念シリーズ第1弾となる広島交響楽団第372回定期演奏会が、7日に広島文化学園HBGホール(広島市中区)であった。……冒頭の「曼荼羅交響曲」は、密教の経典にもとづいており、……音響の断片が飛び交う第1楽章では、沈黙の間に余韻を聴かせる下野の手腕が感じられた。……この日最後の交響曲第2番は、シューマンの病状が一時的に回復する時期の作品。第1楽章で下野は、速度変化をコンパクトにまとめ、邪気を払うかのごとく、よどみない流れを生んでいた。……就任して4カ月目であるが、選曲や演奏解釈に下野節を感じずにはいられない。特に現代作品に対する取り組みがうれしい。今後も大いに期待したい。〈徳永崇/作曲家・広島大准教授〉「中国新聞」2017年7月25日朝刊より